機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル。
原作漫画は全巻読破済み。
安彦良和の絵で描かれる、シャアとセイラの子供時代である。
映像はかなり漫画に忠実。
ところどころに挟まれるコミカルな描写や、大袈裟な強調表現には昭和のテイストがあるのだが、それもまたガンダムであり、安彦作品であると思えばしっくりくる。
まず強烈なのは、ジオン・ズム・ダイクンのイカれ具合と、腹の中が真っ黒なザビ家一党。
その中にあって、ドまっすぐなドズルと、若かりし頃の凛としたキシリア様が非常に魅力的だった。
この作品、実はキシリアを描きたかったんじゃないかと思うくらい、彼女の存在感が強い。
老いたジンバ・ラルと対照的に描かれるランバ・ラルもいい。
それを支える万能すぎるハモンさん。そして、かなわぬ恋に翻弄されるタチ少尉。
このあたりがのちの本編につながっていくのが、知っている側としてはおいしいところだ。
ローゼルシアが挟まることで、単なる家族の逃亡劇ではなく、ジオンを取り巻く政治的な熱も見えてくる。
革命家の死、その遺児たち、ザビ家の思惑、民衆の熱狂。
ガンダム本編の前史でありながら、ひとつの政治劇としてもよくできている。
そして実際のところ、サスロ暗殺は誰の差し金だったのか。
やっぱりギレンなのかなあ。
この作品のいいところは、ガンダムの知識があることを前提にしすぎていないところ。
もちろん、ファーストガンダムを知っていれば面白さは5倍にも10倍にもなる。
「あの人がここに」「この関係がのちにこうなる」という楽しみ方ができるからだ。
でも、まったく初見でも、それなりに楽しめる作品になっていると思う。
革命家とその家族。
権力を狙う一族。
政治的な思惑。
ガンダムという巨大な物語の前史でありながら、一本のエンタメ作品としてちゃんと面白い。
続きも楽しみに観る。
